8月31日、摂津市で3歳の男児が、母親の交際相手からお風呂場で熱湯のシャワーを浴びせられて死亡するという大変痛ましい事件が発生しました。当該市には再々にわたり虐待の通報があったが、生活実態や子どもの状態を正しく把握することができず、一時保護もなされないまま事件に至ったことは、非常に残念でなりません。
実はこのように、連れ子が悲惨な虐待に会うという現象が各地でしばしば起こっています。
親子の関係が密なところに新しいパートナーとの関係が築かれようとする過程で、当然ながら子どもがなつかない、聞き分けがないなどの問題が生じやすく、相手にとっては可愛げがない、しつけができていないと映り、自分がしつけ直すという意識が高まります。しかし、子どもとの間に愛着や安心のベースがないしつけは逆効果になり、相互の関係はさらに悪化の道をたどります。子どもの親の方も新たなパートナーとの関係を保とうとすると、子どもを守れなくなり子どもは孤立した状態に置かれがちになります。
家族の多様化が進むアメリカでは、ステップファミリー(子どものいる再婚家庭)を支える支援活動が展開されていますが、日本では大阪など数市がステップファミリーへの啓発冊子を作成しているにとどまっており、個々の家庭が孤立した状況に置かれたままになっています。
日本でも家族の多様化が進行している現在、上記のような虐待のリスクや発生のメカニズムをまず援助者がしっかりと認識し、子どもが育つ新たな家庭作りがつまづくことのないよう、虐待防止の観点からも予防の段階からの啓発も含め、行政の早急な取り組み、支援が求められています。
2021年9月 認定NPO法人 児童虐待防止協会 理事長 津崎 哲郎
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