今年度のChild Abuse研修会は、特定妊婦の支援をテーマに取り上げて連続講義をしており、184回では「特定妊婦への支援~妊娠中からの支援の実践~」でした。
講師に、NPO法人O'hana 親と子の絆を育むお手伝いの代表 山田裕子氏をお招きし、自身の運営する団体で行っている実践的な支援についてお聞かせいただきました。
本講座は、会場開催とオンラインによるアーカイブ配信を行い、延べ70名の方々にご参加いただきました。
オハナでは、以下のような支援を通して、子育てに不安を抱える親御さんに対し、伴走的な子育てサポートを行っています。
妊娠期から生後半年までの間、週に一度、一時間程度、研修を受けた家庭訪問型育児支援員(ハウス・コール・サポーター)がご自宅に訪問します。
訪問先では、支援対象者のご相談をお聞きしたり、赤ちゃんとの接し方(笑顔、思いやり、温かさなどの愛着形成)や子育ての方法(沐浴、寝返り、スキンシップなどの育児スキル)をお伝えします。
また困ったときに頼れる相談先など、各地域で受けられる支援についてもお伝えしています。
成育歴が影響している方 | 児童養護施設出身など親子の関わりが乏しい環境下で育ち、妊娠・出産を迎えられる方 |
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周囲に頼れる人がいない家庭 | シングルマザーなどサポートをしてくれる方がなく、はじめての子育てに不安を感じている方 |
※必ずしも特定妊婦に関わらず、支援が必要であると判断される当事者の声にこたえておられます。
実践的支援を続ける一方で、本人が直接SOSの声をあげてお問い合わせフォームからご連絡をいただけるような繋がり方は稀で、本人が過ごした児童養護施設の元担当職員からオハナに連絡が届くなど周囲の方からオハナに繋がるケースが多いのが現状の課題だと講座ではお話がありました。
困っている当事者の中には、解決の手だけが周囲にないのではなく、「助けて」と言えないことが、より当事者を孤独で困難な状況に追い込んでいる場合があり、そのことがもう一つの課題だと山田氏は語っておられました。
現状の実践と、今後の課題についてのお話の後、以前テレビニュースで特集された時のオハナの映像を観せていただきました。
映像では、一件、一件、支援先のお母さんのご自宅に回るオハナの家庭訪問支援員の姿が映し出されていました。
お母さんたちは、過去のトラウマや自分自身の悩みを抱えながらも、支援員に胸の内を伝えながら、今を一生懸命に生き、一生懸命に子育てに向き合おうとされている様子が映像越しからも感じられ、じんと胸が熱くなりました。
迷うこと、立ち止まること、それこそが親の子への愛情そのものだと感じると同時に、親たちが孤独に倒れてしまわないようオハナのような社会的資源の重要性をはっきりと感じた1日でした。
ご登壇くださった山田先生、ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました。
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