
2月28日(土)、第188回Child Abuse研修会(以下、CA研)を開催しました。
2025年度のCA研では、「里親」をテーマに全3回の連続研修を実施しました。
その締めくくりとなる今回は、以下の2部構成で行いました。
本記事では、そのうち第1部についてレポートします。
精神科医でもある藤林氏は、平成15年から約18年間にわたり福岡市児童相談所長を務め、令和3年からは明石市にて西日本子ども研修センター長を務めておられます。
長きにわたり里親制度の充実に尽力され、現在もその取り組みを継続されています。

藤林氏が福岡市児童相談所長に就任した平成15年当時、里親委託率は、わずか6.9%でした。
その後、約20年をかけて60%超(乳幼児では87.5%)まで向上し、福岡市は全国1位となりました。
「まずは委託率の向上を目指してほしい」藤林氏はそう述べられました。
しかし同時に「委託率が高い=子どもの幸せ、ではない」ことも強調されました。
大切なのは、その数字の中にいる一人ひとりの子どもたち、そして実親や里親の存在です。
彼らへの「ケアの質」こそが重要であると語られました。

今から約20年前、日本では、虐待などで保護された子どもが施設へ入所することは「当たり前」とされていました。
精神科医として、欧米の「フォスターケア(里親制度)」を学んでいた藤林氏は、そのギャップに驚いたそうです。
その現状を変えたいと、藤林氏は、民間の「子どもNPOセンター福岡」と協力し、「ファミリーシップ福岡・新しい絆プロジェクト」を立ち上げました。
年2回「里親フォーラム」などを開催した本プロジェクトは、初回から200名が参加。
現在も続いています。
https:/npoccf.jp/support_business/299/
藤林氏は「里親制度(フォスターケア)の発展には、里親だけでなく、ご近所や通っている保育園など、地域コミュニティという土壌づくりが欠かせない。そのことを「里親フォーラム」での当事者たちの声を通して学んだ」と話されました。
また、フォスターケアの発展にとってのもう一つの重要なポイントとして「支援体制の強化」も挙げられました。
児童相談所の中に、経験を積んだ里親ソーシャルワーカーが複数配置され、民間のフォスタリング機関や里親支援センターと協働することで、より強固な支援体制を築くことができると述べられました。


研修の最後には、「パーマネンシーの保障」についてのお話がありました。
書籍『福井充「子どもの長期入所からの脱却をめざしてーー施設入退所調査に基づく家庭移行支援」』にある「お前らのせいで俺は一匹狼なんじゃ」という一節を紹介しながら、虐待を受けた子どもたちにとって、施設や里親への委託は“ゴール”ではないと語られました。
それはあくまで、家族や家庭へ戻るための努力を重ね、永続的な解決策を見出すまでの“過程”であるという視点が重要であると述べられました。


藤林氏の講義からは、里親制度の発展について、わかりやすく、かつ深く学ぶことができました。
また、里親と実親が関わり合う共同養育(shared parenting)についての話の中で、里子が「里親にしてもらって一番うれしかったことは、自分の親のことを一度も悪く言わなかったこと」と語っていたお話や、施設で暮らす子どもから「里親に行きたいのでお願いします」と手紙を受け取ったものの、その願いを叶えることができず、なぜあのとき本人に直接理由を伝えなかったのか、今も後悔しているというお話など、里親制度の現場で出会った、当事者とのエピソードが、とても印象的で、その一人ひとりに思いを馳せずにはいられない講義でした。

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