
7月12日(土)、7月26日(土)、8月2日(土)の3日間にわたり、「2025年度 子ども虐待 基礎講座」(全7講座)を開催しました。
会場とオンデマンドをあわせて、109名のお申込みがありました。
本記事は、7月12日(土)に行われた大阪母子医療センター 子どものこころの診療科 小杉恵先生による「講座Ⅰ 虐待はなぜ起こるのか?」についてのレポートと、参加者からお寄せいただいたアンケートを紹介します。

日頃から医療現場で親御さんやお子さんと関わり続けておられるからこその実際の事例や当事者の言葉、おすすめの書籍や映画などを交えながらお話しくださり、とてもわかりやすく引き込まれる内容でした。

コロナ禍以降、虐待相談件数は増加傾向にあります。しかし、特に乳幼児のケースでは、養育者からの申し出がない場合、警察や児童相談所へ通報されても、客観的な証拠が乏しいために無罪となることも少なくないそうです。
「子ども虐待」という言葉は、「しつけであって虐待ではない」「愛情があるから虐待ではない」といった誤解を招く場合があり、近年では Maltreatment(不適切な養育) という呼称が用いられるようになってきていることを学びました。

"子ども側にとって有害な行為であれば虐待なのです。"(日本子ども虐待防止学会JaSPCAN会長 小林美智子)
虐待かどうかを判断するとき、大切なのは「親の意図」ではなく「子どもにとって有害かどうか」ということ。
親が「しつけのつもり」や「愛情があるから」と思っていても、子どもにとって苦痛で心や体を傷つける行為であれば、それは虐待にあたります。
この視点を持つことが、社会全体で子どもを守る第一歩になると感じました。

特に印象に残ったのは、「子育てに大切なこと」として紹介された、逢坂みえこ作の漫画『プロチチ』のお話です。
「愛があっても世話をしない」と「愛はなくても世話をする」、どちらが子どもにとってより良いのかが問われたら、特に乳幼児期においては、後者の視点が何よりも大切だと語る主人公の言葉が強く心に残りました。
社会において、大きなもの・強いものが、小さなもの・弱いものを守るのは自然なこと。
「子どもの安全と健康を守ること」を共通の目的とすれば、「愛情があるから虐待ではない」という考え方は成立せず、虐待とはすなわち「不適切な養育」であると理解しやすくなります。
また、子どもを守るのは愛情のある親だけに限られるものではなく、愛情の有無に関わらずすべての大人がチームとして機能し、社会全体で子どもを育てていく。
そのような価値観こそ、社会のあるべき姿だと感じました。

講座の終盤には、虐待を受けた子どもたちが大人になってからの人生をどう歩むのか、実際に出会った事例やその後の支援についてのお話を伺いました。
虐待や逆境的な体験を示すACEsと、その反対の概念としてPCEs(肯定的小児期体験)があることを学び、子どもたちがPCEsを感じられる環境を整える重要性を実感しました。
さらに、児童養護施設出身の若者たちの声をまとめた映画『REAL VOICE』を紹介いただき、自分を苦しめたはずの親を嫌いになれない子どもたちの葛藤は、乗り越えることの方がより難しいのではないかと考えさせられました。
ドキュメンタリー映画「REALVOICE」公式サイト
現在一時保護所に勤めています。3年目になりますが児童福祉分野は初めてだったので戸惑いも多く日々の支援で悩むことも多いです。自分が想像しえない環境で生活してきた子ども達の気持ちがなかなか理解できなかったり、ぶつけられる気持ちや感情を受けとめられず、休みの日も引きずってしまい、自分自身の気持ちのコントロールが難しい時があります。
今日の先生の講座の中で“出会っているときに子どもが気持ちをぶつけてきたらそれはすごく幸運なこと”という言葉を聞き、胸がつまるというか、いっぱいになるというか…
質問タイムでそのことや明日からの活力をいただいたことをお伝えしたかったのですが、気持ちが溢れそうで言えなかったので、ここに記載させていただきました。
40歳代/児童指導員
私は両親、祖母から身体的・心理的虐待・ネグレクト等受けて大人になりました。「しつけ」そう言われてきたので自分が虐待を受けていたと自覚したのは、自分も親になり30歳を過ぎてからのことです。「しつけ」として殴ること、それが正解だった私は自分の子どもにも暴力をふるっていたのです。でもその都度、胸が苦しく、幼少期から抱いてきた想いがよみがえり涙が止まらず一人で抱え「最低な親」だと自己否定の繰り返しでした。子どもの泣き、私を求める姿に自分の親と同じ命になっていると気付き、初めて他人にSOSを出せた。虐待は繰り返される、でも、心に気付き感情に寄り添う事で自分を守ることもできる。助けてと言えることがとても大切と身をもって知りました。子育てもまずは母である私が幸せになることが重要なんだと日々思い生きています。
40歳代/教職員
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