
7月12日(土)、7月26日(土)、8月2日(土)の3日間にわたり、「2025年度 子ども虐待 基礎講座」(全7講座)を開催しました。
本記事は、7月12日(土)に行われた東京大学大学院教育学研究科 教授 遠藤利彦先生による「講座Ⅴ 子ども虐待とアタッチメント」についてのレポートと、参加者からお寄せいただいたアンケートを紹介します。

発達心理学を専門とし、日本発達心理学会や日本子ども学会などの理事も務められている遠藤先生。
講座では、子ども虐待とアタッチメント、アタッチメント理論の基礎についてお話いただきました。

まずはじめに、アタッチメントとは、子どもが怖さや不安を感じたときに特定の大人に寄り添い、安心感を得る体験のこと、というお話がありました。
「愛着(アタッチメント)=愛情の量」ではなく、「安心を取り戻す仕組み」ということを強調しておられました。
また幼少期の安定したアタッチメント体験は、生涯にわたって影響を及ぼすということも話されました。

次に、子どもの発達は出生時ではなく、受精時から始まるという考え方が広がっているというお話がありました。
妊娠期のお母さんの心身の安定は、その後の子どもの健康や虐待予防に深く関係しているとのことでした。
乳幼児期には「安心感」を土台にしつつ「挑戦」に踏み出す体験が、子どもの自己肯定感・社会性を育み、近年注目されている「非認知能力(自己制御・共感力など)」にもつながっていることを学びました。

講座では、「ルーマニアの捨てられた子どもたち」の事例が紹介されていました。
たとえ物理的環境が整った施設にいても、子どもたちに温かいケア、アタッチメントが欠けると発達が大きく損なわれることが科学的に明らかになったということです。
特に「自己信頼」「他者信頼」の欠如が、後の非行や心身の不調に結びつくことが明らかになったといいます。

講座の中でもっとも心に残ったのは、アタッチメント理論についてのお話でした。
これは「安心感の輪」と呼ばれる考え方で、安心(愛着)を基盤にして、子どもが探索と挑戦に向かう仕組みです。
2つの手のひらがある。これは、子どもが信頼を寄せる大人(愛着)。いつしか子どもは、その心のおもむくままに、愛着の手を離れて活動(探索と挑戦)を始める。しばらく経つと今度は不安感が募り、愛着の手に戻っていく。そこで安心感を回復させると、再び外へ好奇心の羽を広げていく。今後はもっと遠くまで。
子どもの日常とは、この繰り返しであり、これこそが子どもの健やかな心身の発達のカギであるということでした。
子どもが愛着というエネルギーを積んで、どこまでも駆けていく姿がありありとイメージでき、学びとともに、胸がいっぱいになった講座でした。

先生のお話はまるで「安心感の輪」の安全基地に居る気持ちで聞かせていただきました。人の一生を、安心感の輪でイメージして順調に生きることができると、どんなに理想的な社会が作られるかとあこがれます。心して支援に活かせてゆけたらと思います。ありがとうございました。
60歳以上/相談員
アタッチメントについては毎年受講しているので知っていることも多くありましたが、改めて気付くことや知れたこともありました。ずっと自分が関わり続けることは難しいので、頼ってもいい、守ってもらえる、と子どもが人を信じられるようになるように、伝えていけるような行動をとりたいと思いました。
20歳代/児童指導員
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