
7月12日(土)、7月26日(土)、8月2日(土)の3日間にわたり、「2025年度 子ども虐待 基礎講座」(全7講座)を開催しました。
本記事は、7月12日(土)に行われた兵庫県こころのケアセンター 三宅和佳子先生による「講座Ⅵ 子ども虐待とトラウマ」についてのレポートと、参加者からお寄せいただいたアンケートを紹介します。

小児科医としての経験を経て児童精神科へ転じ、精神医療センターや児童相談所、母子医療センターなどで臨床を重ねてこられた三宅先生。
講座では、「トラウマ」という用語の解説と、虐待が子どもの心に与える影響やPTSDの症状、脳への長期的な影響についてのお話と、トラウマケアのあり方や回復の可能性についてお話くださいました。

はじめに、児童相談所や医療現場で出会った子どもたちの事例から、身体的な暴力が止んでも心の傷は残り続けるというお話がありました。
外から見える傷が癒えても、PTSDや不安、行動問題として表れ、社会の中で居場所を失う子どもが少なくないというそうです。
千葉県野田市の虐待事件では、関係機関が努力しても「子どもの心の傷の深さ」を十分に理解できず、支援が途切れてしまう難しさがあるとのことでした。

次に「トラウマ」という用語について、日常的に使う「トラウマ」という言葉と、精神医学における「トラウマ」は異なるとのことでした。
精神医学では、生命や心身に脅威を与える出来事によって深く刻まれる心の傷を指し、災害・事故・暴力・虐待・性暴力などによって突然生じるというお話でした。

PTSDの症状として、フラッシュバック、回避行動、自責感、過度な警戒、身体症状などが挙げられました。
これらは成長や環境によって異なり、子どもでは発達障害のように見えることもあるというお話でした。

幼少期に健全なアタッチメントが形成されると感情の調律や対人関係が安定するが、虐待などで適切に育まれなかった場合、不安を抱えたまま成長し、トラウマやPTSDに発展しやすい。
つまり、アタッチメントの不全はトラウマの脆弱性を高め、長期的な心身の不調(依存症やうつ病、社会的不適応)につながるというお話がありました。

一方で、脳には回復する力もあると強調されました。安全な環境や信頼できる人間関係、食事や教育といった支援が整えば、回復に向かう可能性があるということでした。
講座の最後には、トラウマインフォームドケアについてのお話がありました。
トラウマインフォームドケアとは、虐待などを経験した子どもに対する支援であり、生活の安全を土台に心の回復を促すケアです。支援者はトラウマの影響を理解し、子どもの反応を問題行動ではなく過去の経験からの反応として捉えることが大切であり、感情に寄り添うことで、再トラウマ化を防ぐと解説されました。

ゆっくりとお話しくださったので、深い内容のご講義を受け止めて聞かせてもらえありがたかったです。
これからも勉強させてもらって支援に役立てることができたらと思います。
60歳以上/相談員
ネグレクトの子はどのようにトラウマが出るのかわからなかったが、症状の欄を見ると見ている子のほとんどが当てはまっていて、トラウマを抱えていることを知りました。過去の生育歴が関係しているのだろうなと思いながら関わってはいますが、問題行動を見ると咄嗟に注意をしてしまうこともあるので意識的にトラウマ眼鏡をかけて対応していきたいと思いました。
20歳代/児童指導員
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