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【西澤哲氏 特別セミナー】「どのように子どもの意見・思いを聴いていくか」を開催しました

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12月6日(土)、山梨県立大学大学院人間福祉学研究科 特任教授の 西澤 哲氏 を講師にお迎えし、特別セミナーを開催しました。

西澤氏は、虐待を受けてきた子どもたちと長年向き合いながら、不適切な養育が子どもに与えるトラウマやアタッチメント障害について、研究と実践の両面から取り組んでこられました。

当日は、西澤氏ならではの笑いと学びが溶け合った、参加者の心をつかむ講義でした。
単なる知識の共有にとどまらず、「子どもの声を聴くとはどういうことなのか」について、西澤氏ご自身の姿勢が語られ、参加者一人ひとりが深く考えさせられる、濃密な時間でした。

本記事では、当日の講座の様子をレポートします。

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「子どもの声を聴く」西澤氏の原点

西澤氏の仕事の原点は、情緒障害児短期治療施設(現在の児童心理治療施設)で、虐待を受けた子どもたちと出会ったことにあるそうです。
当時は、まだ「虐待」という言葉すら一般的でない時代でした。

社会的養護の現場は十分な環境とは程遠く、西澤氏は、「この環境を変えていきたい」と強く感じるようになったと語られました。

その思いは今も変わらず、これまでご自身の活動を支え続けてこられた原動力は、「子どもたちの声にほかならない」とも話しておられました。

社会的養護の歴史

講義の前半では、1950年代以降の社会的養護の歴史について学びました。


1950年代のヨーロッパでは、施設で育つ乳幼児の高い死亡率が問題となり、「ホスピタリズム」や、集団養育が子どもの発達に悪影響を与える「施設症候群」が注目されるようになったそうです。

その後、1960年代以降は世界的に脱施設化が進み、1989年に明らかになったルーマニアの孤児問題を通して、家庭的環境で育つことの重要性が強く示されました。


西澤氏は、「子どもの発達には、単に“保護する”だけでなく、早い段階から特定の大人との安定した関係が不可欠です。専門用語はいろいろありますが、突き詰めれば“可愛がる”ということだと、私は思っています」と語られ、この言葉がとても印象に残りました。

日本における社会的養護の成り立ち

続いて、日本における社会的養護の成り立ちについても話されました。

日本の社会的養護は、戦後の戦災孤児の救済を出発点として発展してきたのだそうです。
そのため、「暮らす場所を確保すること」が最優先され、子どもの心のケアは後回しにされてきたという歴史的背景があることも紹介されました。

「みんなおなじ」の中に埋もれた子どもの声

施設における「集団養育」についても触れられました。

「みんな平等に」という考え方のもとで一様に扱われることが、子ども一人ひとりを「特別な存在」として見る視点を奪い、自尊感情の育ちに影響を及ぼしていると指摘されました。

また、入所理由や親に関することを知らされないまま生活することで、「なぜ自分は施設にいるのか」「自分が悪い子だったから」といった思いを抱き、無力感や将来への不安が強まり、それが問題行動につながることもあるのだそうです。

西澤氏は、「子どもが置かれている状況を正直に伝えることは、子どもを一人の人間として尊重することにほかならない」と話されました。


子どもの声を聴くためには、まず大人や社会が「子どもには一人ひとり違った声がある」ということに気づく必要があるのだと感じました。

子どもの声を聴く「照らし返し」

講義の後半では、実際のカウンセリングの現場で西澤氏が大切にしている関わり方として、「照らし返し」が紹介されました。

子どもは必ずしも自分の本心を意識できていたり、言語化できているわけではなく、つらい気持ちから目をそらすために、自分でも気づかないことがあるのだそうです。

たとえば問題行動が起きたときに、「その前にあった出来事が悲しくて、あの行動につながったのかな?」と尋ねても、「違う」と答えることがある。
そのときに「そうなんだ」で終わらせるのではなく、「私には、その悲しみがきっかけだったように見えたよ」と伝える。


それが「照らし返し」なのだと説明されました。

「子どもから話を聞くことに加えて、私にはあなたがこう見える、ということを伝える。他者である私の視点を返すことが、とても大切なんです」と西澤氏は話されました。


「照らし返し」を通して、子どもは「自分が他人にどう映っているか」を知ることができ、それが自己形成においてとても大きな意味をもつのだそうです。

子どもの声を聴く「いつでも窓を開けておく」

もう一つ大切にしていることとして、「いつでも窓を開けておく」という姿勢が紹介されました。

たとえば子どもに親のことを聞いたとき、子どもが「もういい」と話したがらなかった場合、「あなたはそう思っているんだね。じゃあ今はやめておくね。でも私はそのことを大事だと思っているから、また時々聞きに来るね」と伝え続けることが大切なのだそうです。

いつか「この人になら話してもいい」と思えたときや、自分の気持ちを整理したくなったときに話せる場を残しておくこと。
大人がそのことを大事にしていると伝えることで、子ども自身もそれを大事なこととして受け止められるようになる、というお話でした。

講義を終えて<参加者アンケート>

参加者の皆さまから多くの感想をいただきましたので、ぜひご覧ください。

感想の中にある「僕がその子をどう体験するか、を大切にしている」という言葉など、心に刺さる言葉がいくつもあり、本記事では書ききれないほど、あっという間に感じた3時間の講義でした。


今後も、当協会では、さまざまな講師をお招きし、講座を開催したいと思いますので、引き続きご参加くださいませ。

西澤哲さま、ご参加くださった皆さま、ありがとうございました!

「ボクはその子をどう体験するか」を大切にしたい~という先生の言葉がありました。この言葉に到達されたのはおいくつの時ですか?質問したかったけどできませんでした。

60歳以上/SSW

今、かかわっている保護者にどのようにかかわろうかというヒントになりました。少し踏み込んでみようという気になり、背中を押された感じです。ありがとうございます。

50歳代/看護師

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